黒縄地獄

場所・規模
 場所は等活地獄の下、広さは等活地獄と同様に縦が10000由旬、すなわち144000kmくらい。
罪状
 殺生の罪と盗みの罪を犯した者が堕ちる。現代風に言えば強盗殺人罪だな。
刑期
 1000黒縄地獄年。
 刀利天(とうりてん)の天人の寿命は1000歳だが、刀利天の1昼夜の長さは人間の世界の100年にあたる。ところがこのように長い刀利天の寿命も、黒縄地獄の1昼夜にしかならい。というくらい長い年を1000年も過ごさなければならないのだ。
刑罰
 罪人は熱い鉄の大地に寝かされ、これまた熱した鉄でできた墨縄で、体に縦横に墨の筋をつけられ、その筋の通りに獄卒に熱した鉄の斧で切り刻まれる。あるいは鋸で切り、あるいは刀でずたずたにされて、あちこちにまき散らされてしまう。
 さらに、罪人が、熱した鉄の縄がぶらさがり交錯している中に追い込まれると、恐ろしい風がものすごい勢いで吹き荒れ、その鉄の縄が罪人の体にまとわりつく。なんせ熱した鉄の縄だから、罪人の体の肉は焼かれ、骨すら焦げてしまうのだ。
 他にも、左右に大きな鉄の山があり、山の上に鉄の幢が多数立ち並び、その幢の先に鉄の縄を張り巡らし、その縄の下に、多数の煮えたぎった大釜が置いてある。そこへ鉄の束を山のように背負った罪人に歩かせては、下にある大釜に落としては砕いて煮てしまう。
 ここで受ける苦しみは等活地獄の十倍も重いのだ。
 またここではこんなことも。獄卒が罪人を責めたてて言う「人の心こそが一番の怨(あだ)をなすのだ。心の怨が一番の悪を働き、この怨が人間にとりついて、人を閻魔王のもとに送るのだ。おまえはただひとりで地獄で焼かれ、自分の悪業によって食われるが、妻子・兄弟であろうと、だれも救うことはできないのだ」と。
付属設備(小地獄)
 四つの門の外には16の小地獄がある。その中から2つばかり紹介しよう。
等喚受苦処(とうかんじゅくしょ)
 はるかに高く険しい崖の上から、罪人を黒縄でしばって突き落とす。下には鋭い刀が焼けた地の上に立っており、炎を吐く犬が落ちた罪人にかみつき体はばらばらにされる。間違った考えを語ったり、不誠実だったり、崖から投身自殺した者が堕ちる。
畏鷲処(いしゅしょ)
 獄卒が杖で打ちすえ、昼夜の別なく罪人を追いまくって、刀で切り、矢で射る。物欲から人を殺したり、人をしばって食べ物を奪ったものが、ここに堕ちる。
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